第18章 なんとかリウム【万里】 甘夢
臣は身体を支えてくれていた。監督ちゃんが看護師に話に行くと、医師までが駆け寄って来てなにかくどくど言っていた。オッサンになるとこんだけくどくど言うように何のかよ、と思いながら適当に医師の質問に返答していく。とりあえず、いづみに面会は可能となった為、臣達に介助をしてもらいながら、いづみの病室まで行った。いづみは俺よりかは軽傷だったみたいで俺とドア越しに別れてから結構すぐにオッサンに介抱されたみてーで、病院着くまでは意識があって、その後も体力的な休みにと眠っただけだったらしい。世は俺みたいに意識失ってぶっ倒れてなかったって言ってた。
車椅子で運ばれるとか、だせーから絶対ダイコンやろーには見せたくねぇな。
色んな話を聞いていたらあっという間にいづみの居る病室までついた。いづみは俺の想像とは違い優雅に本なんか読んでた。
「あ、万里。起きたんだ。怪我、大丈夫?」
「おう、もうこの通りピンピンよ」
「嘘ばっか、点滴ついてる」
「そりゃ、おまえもだろ」
「良かった、無事で」
いづみの顔は少し腫れ上がっていた。きっとあの時男に殴られた跡だろう。いづみには脳震盪の他にも顔面外傷という病名がついていた。俺にはもっと難しい病名がいっぱいついてたけど、とりあえず2人とも脳には問題はなく、1-2週間は入院して経過をみるらしい。それで問題がなければ退院となるそうだ。
監督ちゃんの計らいで、監督ちゃん、臣、オッサンの3人は下まで飲み物を買いに行ってくれて、今は2人きりだった。
「先生は1週間もすれば元に戻るだろうってさ」
「そりゃあ……良かったな」
「……万里、ごめんね。こんなことに巻き込んじゃって」
「いや、それよりも……守れなくてごめんな」
「え?いや、万里は十分守ってくれたでしょ」
「いや、本当だったらこんな傷つく前に……」
「万里らしくない、なんなの、その表情」
「そりゃ、お前の方がよっぽど酷い面だぜ」
いづみはポロポロと涙を流していた。
「うっさいわ」
「……もう、とりあえずいづみ、お前は俺の傍離れんな」
「え……」
「またこんなことに巻き込まれたら困んだろ」
「傍にいていいの?」