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夢の世界へ

第18章 なんとかリウム【万里】 甘夢



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そして、俺は目が覚めて気がつくと病院だった。周りは四人部屋で薄いカーテンで仕切られた部屋。少しツンっとするようなアルコールの匂い。白い掛け布団に、見たことも無い病衣を身にまとっていて、腕がチクチクというか、違和感があるかと思えば点滴が入っていた。
ゆっくりと身体を起き上がらせるとまだ頭はズキズキとする。おまけにあちこちには包帯やら絆創膏等していた。あんな派手な喧嘩だったのに四肢はまともに動くから骨折は無さそうだ。

シャッとカーテンが空く。

「あ!万里くん、起きた!?」

「監督ちゃん?何でここに?つか、何で病院に?」

「それはあんなに大怪我だったからに決まってんだろ。あの後警察に事情聴取され、色々やったんだからな」

「げっ……オッサン」

「元気になったみたいで良かったな!あの女の子も元気だぜ」

「臣……」

「そうだ、あの後あの現場を処理するのは大変だったんだからな。学校のものを器物損壊するわ、男たちに暴力振るうわくどくど……」

「まぁまぁ、でも結局学校でのイジメということで、いじめてた奴らや男たちには警察から処分が下って、他は学校が解決してくれるようで良かったじゃないですか」

「でも、万里くん。親御さんには迷惑かけちゃダメだよ」

「当たり前だが、劇団にもだ」

「それは……すんません」

「ま、事情も至さんから何となく聞いていづみさんとの関係も知ったし、変な理由で喧嘩してる訳じゃなかったですしね」

「でも、今後こんなようなことがたくさんあっては困る。それにいづみと言ったか?あの女の親にだって会えてないんだ。俺達はおまえを劇団員として親の承諾を得て寮に住んでいるんだ。それなりに監督や俺には立場や責任っていうものがある。というか学生風情がこの間の無断外泊にだって俺はな……くどくど」

「とりあえず、万里くんが無事で良かった」

「監督ちゃん……」

「だな。でももう監督にあんまり心配かけちゃダメだぞ、万里」

「ういっす……」

「そういえばいづみのことなんだが」

「そうだ、いづみは無事か?」

俺は布団を勢いよく剥ぐと、下に降りようとする。しかし、いつもに比べバランスが取りにくくなっていてグラッとベッドから落ちそうになる。

「万里、今車椅子持ってくるから待ってろ」

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