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マイハート・ハード・ピンチ

第3章 合宿の朝


「そういえばさ」
翠が洗面台に戻ると、歯磨きを済ませた嵐が照れ臭そうに彼女に向き合った。
「合宿の手配、突然決まって大変だっただろ。初日の練習試合のセッティングだって…。俺らは練習で自分のことばっかなのに、お前は他の奴のためにずっと働きっぱなしだ。だからその……疲れたりしてねえか?無理な時は言ってくれ」
翠はうつむいた嵐の手を取り、両手で強く握った。
「大丈夫。わたしは柔道部のみんなのサポートをするのがすごく楽しいの。どんどん強くなってくみんなを、一番近くで応援してたいって思ってる。だから疲れたりしてないよ。マネの仕事なら、大迫先生にも手伝ってもらえてるしね」
嵐は翠の言葉にほっとした様子で表情を緩めた。
「そっか。俺、本当にお前に出会えてよかった。お前がマネージャーやってくれなかったら、柔道部がここまで成長できたかわかんねえや。改めて礼言う。ありがとな」
嵐が翠の手を握り返す。翠はちょっとだけ顔を赤くした。
「ふふっこちらこそだよ。ありがとう」
翠は嵐のこういう真っ直ぐなところに、めっぽう弱いのだった。
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