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マイハート・ハード・ピンチ

第4章 夜のプールサイド


「はぁ〜食った食った〜」
新名は空になったカレーの大皿を前に、お腹をかかえて満足げに息をつき、椅子にもたれかかっている。
「今日も飯、うまかった。ごちそうさん」
嵐も大盛りのカレーを完食し、行儀良く手を合わせている。
「ほんとほんと。翠さんのつくる料理をこんなに食べられるなんて、合宿はきついけど、なんだかんだ俺、幸せだわー」
満足げな二人のようすに、翠も思わず笑みがこぼれる。
「お粗末さまでした。喜んでもらえると、こっちとしても作り甲斐があるよ〜」
そう言いながら、翠は自分で入れた熱い緑茶でほっと一息ついている。二人のように大盛りのカレーを食べていては太ってしまうので、彼女は早々に食べ終え、熱いお茶で一日の疲れをリフレッシュするのが合宿中の日課だ。こういう時、男子と同じ量の焼肉を食べてもケロッとしていて、スリムな体型を維持できる珊瑚がちょっと羨ましいような、そうでもないような気がしてしまう。そんなことを考えていると、
「おう。俺にも茶、くれ」
と、嵐がすかさず自分の湯飲みを差し出す。
「はぁい。…あっ、ちょっとぬるくなってるから、淹れなおすよ。ちょっとまっててね」
翠がいそいそと席を立ち、キッチンへと消えていく。その様子を見た新名は、
「いやー。翠さんの嫁スキルが高すぎて頭があがらねえわ」
と独りごちる。それに対して、
「は?あいつはどこにも嫁にやらねえよ?」
嵐はきょとんとした顔でその天然ぶりを発揮させていた。

全員分のお茶が入り、嵐も新名も仲良くお茶をすすっている。
「そういえば、夜のミーティング、どうしようか」
通常なら、そろそろ今日の振り返りや明日のメニューの確認をするミーティングの時間だ。
「あー、それなんだけど、今日は夜の予定は変更。ちょっと、新名と話し合って、別の予定をいれさせてもらったから」
嵐の言葉に、新名がニンマリと意味深な笑みを浮かべている。
「別の予定…?」
予想外の展開に、翠は首を傾げた。
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