• テキストサイズ

マイハート・ハード・ピンチ

第2章 BBQしよう!


じゅうじゅうと、炭火の上でカルビが焼けている。
その様子を猛獣(主に男子三人と女子一人)が目をぎらつかせて見張っている間も、翠は付け合わせのサラダや炊飯器の米の炊け具合を気にして忙しく動き回っている。
「翠もちゃんと食べないとみんなに食べられちゃうよ!」
珊瑚が肉を頬張りながら忠告するのを、やれやれ、と楽しげに見つめていると、嵐がこっそりキノコ類を避けているのを目敏く見つけた。
「不二山くん、しいたけ残しちゃダメだよ!野菜もバランスよく食べてね」
にっこりと背後に忍び寄る翠に、嵐はビクリと肩を震わせた。
「うわ、びっくりした。なんだよ…他の奴らだって肉ばっか食ってるだろ」
不服そうな嵐に白米を持ったお椀を差し出しながら、
「いやいや、不二山くんの栄養管理もわたしの仕事だからね。いつもきのこ残してるの、しっかりチェックしてるよ。はい、ごはん!バランスよく食べないと、明日の練習で身体が重くなっちゃうからね」
嵐は素直に茶碗を受け取ると、
「はーい。まったく、お前には敵わないな」
と、柔らかい表情で微笑んだ。

珊瑚と琥一は、目の前で繰り広げられるやりとりにすっかり気を取られて、肉を食べる手が止まっている。
珊瑚の隣にいた新名は、
「はあ。敵わないのは、こっちの方っすよ。まったく」
と、遠い目をして、網の上で焦げかかっているピーマンを救出しつつ、口に運んでいく。
さすがの珊瑚もなにか気の利いたことを言ってやれないか考えを巡らせたが、新名の複雑そうな表情の前で何が言えるだろうと考えあぐねていると、白米のお椀を持った翠が新名の肩をポンと叩く。
「新名くんはいつも好き嫌いせず食べて、えらい!焦げた野菜も救出してくれてありがとう!はいっお米!あと、サラダもね。」
差し出された茶碗とサラダを受け取ると、新名は少し泣きそうな顔をして、翠にとびついた。
「やっぱアンタは天使。翠さ〜ん!!」

こうして二日目の夜は楽しく過ぎていった。
/ 45ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp