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マイハート・ハード・ピンチ

第11章 素敵はばたき恋の歌


そんなこんなで、三人が盛り上がっていると、見知らぬ学ランの三人組がこちらに近づいてきた。与多高生だ。
「おうおう、楽しそうじゃねえの。はば学生さんよぉ」
三人のうち、一番背の高い、時代遅れのリーゼントヘアの男が新名にメンチを切っている。
それを見た嵐が「おい、なんだよ」と食いかかろうとしている。
「さっきからキャアキャアうるせえんだよ。そこの女、よく桜井兄弟と一緒にいるよなあ?」
リーゼントヘアの取り巻きの男が翠の方を睨んでいる。
「おい、この人に用があんなら、まず俺らを通してもらわねえとなあ?」
いつも柔和な表情を崩さない新名が柄になく凄みのある怒声を出すので翠は少々驚いた。
嵐も無言で相手を睨んでいる。握られた拳は硬そうだ。
(どうしよう…このままじゃ喧嘩になっちゃう!なんとかして止めなきゃ!)
「二人とも、待って!このまま喧嘩なんかになったら、部の活動もできなくなっちゃうかもしれない!」
翠の必死の呼びかけに、嵐と新名はハッと我にかえる。
そして、新名は二人に目配せし、「逃げよう」と耳打ちした。

「おい!無視してんじゃねえよ!!」
相手の三人は口々に罵声を浴びせてくるが、こちらは逃げ出すタイミングを慎重に伺っている。
「怯んでんのか?オラァ!」
リーゼントヘアが叫ぶ。
と、新名が「いまだ!」と合図し、三人が一目散に駆け出す。
「あ?!」
与多高生は呆気に取られ、一歩出遅れた。途中まで追いかけてくる彼らを巻くのに苦心したが、しばらくして、三人はなんとか無事に窮地を抜け出したのだった。
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