• テキストサイズ

マイハート・ハード・ピンチ

第10章 海岸線とテトラポッド


「いや〜、琉夏くんと珊瑚さんにはほんとに助けられてるよ。ふたりがはば学を卒業したら、うちに就職してほしいくらい…」
店長に労を労われつつ、二人はバイト先を後にした。
外に出ると、よく晴れた、透き通るようなオレンジ色の夕陽が見えた。今は海も凪いでいる時間帯だろう。
琉夏は店の駐車場でバイクにまたがって、「珊瑚も送って行こうかー?」なんて言いながら、ヘルメットを身につけている。
珊瑚はそんな彼のシャツの袖をつまんで、ちょんと引っ張った。
「ねえ、ルカちゃん。このあとちょっと話せない?」
珊瑚がこんなふうに琉夏に甘えるのはすごく珍しいことだったので、琉夏は一瞬呆けたような顔をしたが、「はい!喜んで!!」と顔を輝かせた。
珊瑚はさも「不本意」という感じで恥ずかしさを堪えながらうつむいている。

ルカのバイクを海岸線に走らせ、二人は海沿いにあるコンビニに向かった。
このコンビニで飲み物を買って、バイクを駐車場に止めたまま、店の前の防波堤をよじ登り、テトラポッドに腰掛けて海を見ながら話すのが、二人が何か真剣に話をしたいときのお決まりである。
/ 45ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp