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マイハート・ハード・ピンチ

第1章 屋上ランチ


「そういえば、柔道部は今年は百人掛けしないの?」
諦めて三人の横で弁当箱を広げておかずをかきこむ嵐に、珊瑚が尋ねた。
「…あ?ああ、あれは柔道部をきちんと部活にするっていう目標があったから…」
嵐の返答に、すかさず翠が食らいつく。
「でも、今年もやったら、新名くんみたいな有望な後輩が、来年も入部してくれるかもしれないよ?学外の人も多く来るわけだし…いいと思うんだけどなあ…」
翠が身を乗り出して、上目遣いで嵐を見る。
「う、うーん、確かに…」
嵐は恥ずかしそうに顔を背け、頭を掻いたあと、
「ちょっと考えとく」
と生真面目な顔で翠を見た。

「はいはーい、今日も夫婦漫才、ごちそうさま。わたしはそろそろ行くわね」
弁当を片付け終わった珊瑚が立ち上がる。
「うん、学園演劇頑張ってね」
あと、夫婦漫才じゃないよ、と恥ずかしそうに訂正しながら翠が手を振る。

そんな翠を尻目に、去り際、珊瑚が嵐に不敵な表情で言い放つ。
「今年は百人掛け、わたしも参加するから。ヘトヘトに疲れ切った不二山くんなら、倒せるかも?」
そんな珊瑚に、
「お前には負ける気がしねえよ」
嵐が戸惑ったように笑った。
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