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マイハート・ハード・ピンチ

第9章 ストロベリーフィールズの夢


琥一が自販機から帰ってくると、二人はベンチで並んでアイスを食べた。
「んで?お前が三角関係に悩んでいることは周知の事実だろ。どうした、いまさら」
琥一に淡々と告げられた事実に翠は思わず辟易した。
「ええ…そんな周知の事実だったの…?」
「おう。まあ仲良い奴はだいたい知ってんじゃねえの。少なくともこのまえバーベキューにいた奴は全員勘付いてるだろ」
琥一の言葉に、まいったなあ…と空を仰ぎつつ、再び新名の顔が脳裏をよぎる。
どんなに部員一人一人と対等に向き合っているつもりでも、この気持ちはきっともう、完全に隠し通すことはできないのだろう。

翠は新名との出来事をぽつりぽつりと琥一に説明した。

琥一はしばらく黙って聞いていたが、翠が話し終わると、
「でも、結局お前の気持ちを貫くしかないんじゃねーの。不二山を好きでいるのも、三人で仲良くしたいっていうのも、やめようと思ってできるもんじゃねえだろ」
と、ずばりと言う。
「うう〜…そうなんだよね…でも、そんなんでいいのかなあ…マネとして」
うーん、と頭を抱える翠を、琥一がバシッとチョップする。
「大丈夫だろ。お前が真摯に部活に向き合ってることはみんな知ってる。お前が自信失ってどうする」
「コウちゃん…」
琥一は空になったチョコナッツバニラモナカの包装を、ゴミ箱めがけて投げる。
「これからもちゃんと向き合ってやれよ。新名に。あと、不二山にも」
包装は、バシュッと弧を描いてゴミ箱に吸い込まれていった。
「うん…!コウちゃん、ありがとう」
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