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マイハート・ハード・ピンチ

第5章 夏の庭、ホームパーティ


そんなこんなで、週末がやってきた。
珊瑚はうきうきと設楽邸からやってきた迎えの車に乗り込み、不安と期待の入り混じった感情で窓の外を見つめた。

設楽邸に到着するなり、控えていたメイドがわらわらと珊瑚を取り囲んだかと思うと、彼女は控室に通された。
部屋に入ると、クローゼットに聖司が用意したドレスがかけてあるのが見えた。
「珊瑚さま。お待ちしておりました。本日、身支度のお手伝いをさせていただくメイドの九条と申します。よろしくお願いいたします」
中で待っていた使用人と思しき女性が、恭しくお辞儀をしたかとおもえば、流れるような手つきで珊瑚をドレスに着替えさせ、彼女をピカピカのドレッサーの前に座らせた。

丁寧に髪の毛をブローされ、顔に淡くメイクを施された珊瑚は、まるで絵本の中の妖精のようだった。

「聖司さん」
控室の外で待機していた聖司に珊瑚が声をかけると、彼は珊瑚の姿を見るなり満面の笑みを浮かべた。
「やはり俺の見立ては間違いなかったようだな」
聖司の満足そうな顔を見て、珊瑚は心の中でほっと胸を撫でおろした。正直、今の自分の容姿が、彼の期待に応えられているか不安だったのだ。

本来の彼女なら、自分の容姿に対してこんなに不安を覚えることはなかっただろう。

自惚れているわけではなく、彼女は自分の生き方に自信があった。そう生きられるよう努力しているから。
けれど、聖司とのことになると、いつも冷静さを欠いてしまう。思い通りにならなくて、地団駄を踏みたくなるような気分の時もある。
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