第7章 暗がりの中であなたと一緒に
「お湯を張ってきた。俺も準備するから、少しだけ待っていてくれ」
そう言って理鶯さんはテントの中へと入っていった。理鶯さんとお風呂に入るのは、私が働いているお店に来て以来、2回目だ。でも、1回目よりも、ずっと緊張する。
「待たせたな。暗いから、しっかり掴まっていろ」
手を差し出され、私はその手を取ると、理鶯さんに先導されて歩いて行く。やがて温かな空気が立ちこめる場所に着くと、理鶯さんは暗闇の中で私を抱き締めた。
「服を脱がせても良いか」
「……はい」
そう言うと、理鶯さんは私が着ている服に手を掛けた。カーディガンのボタンを一つずつ外され、スカートとストッキングを脱がされる。
次第に暗闇に視界が慣れていくけれど、明かりの下よりは薄暗いし、視覚より感覚が敏感になっていた。指が触れただけで、体の奥がきゅんと疼く。
二人ともその場で服を脱ぎ捨て、私は理鶯さんに抱き上げられてバスタブに体を沈めた。後ろから抱き締められる体勢で、静かに星空を眺めた。
「満天の星空、ってこういうことを言うんですね」
「ああ。自分達がいかに小さい世界で生きてるか、この星空を見ているとそう思う」
理鶯さんの大きな手が、私の髪を洗うように梳いてくれる。
私はその手に身を委ねてると、理鶯さんがふと、呟いた。