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【ヒプマイ】Bird in a cage

第7章 暗がりの中であなたと一緒に



「いつか、振る舞いたいです」


私に言えるのは、いつか、という、叶うかどうか分からない願望だけだ。私が返済しなければならないお金を考えれば、実現する可能性は、限りなく低い。ふとした時に現実が頭にちらついて、私は息苦しくなる。


「咲。いつか、はそう遠くない」

「え?」

「前回のディビジョンバトルでは、決勝で敗退してしまったが、今度は必ず優勝する。優勝賞金は三等分してもかなりの額になる。それがあれば、お前を縛っているものから解放できる」


そこまでして私の境遇を思ってくれる理鶯さんの気持ちは、泣きそうになるくらい嬉しかった。私は涙を堪えてただ頷くと、人参を切る手を再び動かす。


「ありがとう」


私が切った食材を、理鶯さんが手慣れた様子で炒める。私が知らない工程もあったけれど、それは海軍特有の調理方法なのかもしれない。

煮込みはじめると、たちまちカレーの美味しそうな匂いがたちこめ、一日散策して空腹になっていた私の食欲をそそった。

お米を炊く時間も含めると、カレーが完成したのは1時間ほど経った頃だった。辺りは殆ど暗くなっていて、理鶯さんはたき火に薪をくべて明かりをともす。


「この辺りは夜になると真っ暗になるからな。こうして火をたかないと何も見えなくなる」
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