• テキストサイズ

【ヒプマイ】Bird in a cage

第7章 暗がりの中であなたと一緒に



「今日は金曜日だから、夕食はカレーだ」


私はテントの裏にある調理場で、理鶯さんの夕食作りを手伝っていた。靴は、キャンプ用の簡易的な靴を貸してもらった。男物でぶかぶかだけれど、ヒールの高い靴を履くよりは柔らかくてマシだから、と気遣ってもらった。

具材は牛肉、じゃがいも、人参、たまねぎなどシンプルなもので、他にもカレー粉や小麦粉などが並んでいる。


「何で金曜日だとカレーなんですか?」


私は指示されたように野菜を切りながら、お米を研ぐ理鶯さんの方を向いた。


「海軍では金曜日にカレーを食べる習慣があった。ここで生活するようになってから久しくカレーは食べていなかったが、珍しく銃兎が食材の差し入れをしてくれてな。俺なりに味を再現してみることにした」

「そうだったんですね」


とんとん、と人参を切っていると、理鶯さんはお米を研ぎ終わり、後ろから私を包み込むようにして抱き締めた。


「理鶯さん?」


私が包丁を止めて首だけを理鶯さんへ向けると、髪に触れるだけの口付けをされる。


「料理している姿は、なかなか可愛いな」


思いがけない言葉に、顔が熱くなる。


「俺にもそうやって料理を振る舞って欲しい」


抱き締める力が強くなり、胸が一杯になる。目を閉じて、理鶯さんと二人で暮らしているところを想像する。誰にも邪魔されない、二人だけのゆったりとした時間。
/ 48ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp