第6章 野原と小川と
「理鶯さん……?」
覆い被さるようにして私の顔をのぞき込む理鶯さんに手を伸ばすと、理鶯さんはその手を取ってキスをした。
「あまり、その気にさせるな。また欲しくなる」
「私は……良いですよ、ここでしても。誰も見ていませんし、私はいつだって、理鶯さんが欲しいです」
自分でも欲情しているのが分かる。理鶯さんと見つめ合って、なんてことをしている訳でもないのに、私の体は熱くなる。
理鶯さんはライトブルーの瞳を揺らして、迷うような仕草を見せた後、私の手にキスをしたまま首を横に振った。
「いや、今ここでするのは、我慢しておこう。さっき無理させたばかりだからな」
なんでこんなに理鶯さんは優しいんだろう。誘いを断られても、悲しくなくて、むしろ私の胸はときめいていた。
「夜になったら、お前を抱かせて欲しい。その時は、遠慮しない」
頬に口付けをされ、耳元でそっと囁かれる。また目と目が合うと、理鶯さんも瞳だけは、欲情していた。
「……はい」
私はせがむようにもう一度だけ口付けをして、理鶯さんの存在を近くで感じた。