第2章 再会
「おいお前ら、今日は俺様のおごりだ。好きなだけ遊んでけ」
左馬刻さんが顎で私たちを指すと、眼鏡の男性は興味深そうに眼鏡のブリッジを押し上げた。
「へえ、また随分と楽しそうな場所ですね。選びがいがありそうだ」
一方の理鶯さんは、表情を変えずに私たちをじっと見据えている。
「左馬刻、お前の趣味はなかなかのものだな。小官はここまで露出度が高い服を着た女性たちが並んで立っているのを見たことがない」
左馬刻さんは、ハハッと可笑しそうに声を上げて笑った。
「まあな。ここはちょっと特別なソープだ。もちろん、NG行為はほとんどなし、本番も好きなだけヤれる。好きな女選んで、好きにヤれや」
「ソープ?本番?銃兎、それはなんだ」
理鶯さんが怪訝そうに首を傾げながら、眼鏡の男性――銃兎さんに尋ねる。
「ソープとは簡単に言えば風俗です。本番とは、挿入行為のことです」
至極冷静な口調で銃兎さんが言うと、理鶯さんは納得したように頷いた。
「ああ、なるほど。ならここに居るのは全員、娼婦ということか」
「まあ、あけすけに言えばそういうことです」
店長は、私たちキャストと奥の部屋の扉をそれぞれ手のひらで指し示した。
「お気に入りの女性が決まりましたら、あちらの扉から嬢が直接、部屋へご案内致します」
「じゃ、早速選ぶとしますか」
左馬刻さんが一人ずつ、キャストのことを見て回る。彼は少し気の強そうな美人を屈服させるのが好みらしく、どちらかと言えば童顔の私は一度も選ばれたことがない。
今日は左馬刻さんのお気に入りのキャストが出勤していて、案の定、その人を選んだ。
「お前にする」
そう言うとキャストの肩を抱いて、2人、ダークブラウンの扉の奥へと消えていった。