• テキストサイズ

【ヒプマイ】Bird in a cage

第6章 野原と小川と


「もう少しで野原と小川に出る。そこなら危険な生き物もいないから、裸足でも歩けるし、楽しめるだろう」


理鶯さんが言うとおり、少し進むと広い野原と、傍を小川が流れていた。ところどころには小さくて可憐な花が咲いている。

こんなに広い野原を見たのは、生まれてはじめてかもしれない。

そっと私の体を地面に下ろしてくれた理鶯さんは、私の顔を見て首を僅かに傾けた。


「どうだ?少しは気に入ってもらえただろうか」

「はい。すごく、素敵な場所です」


微笑むと、理鶯さんは満足げに口許を緩めた。


「良かった」


私はふと、走り出したい気持ちに駆られた。何もかもから解き放たれて、自由になってみたい。

私は理鶯さんの手を離れて、思いっきり野原を駆けてみた。思うがまま走って、くるくる回ってみたり、野に咲く花を見て、小川の傍で水の匂いを感じてみたり。寝転がって青空と雲を仰いだり。

理鶯さんはそんな私を、木陰に座りながら、静かに眺めていた。


こんな清々しい場所があるなんて、知らなかった。この広い森には、もっと別の何かがあるのかな。時間なんて気にしないで、理鶯さんと自由に探索できたら良いのに。
/ 48ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp