第4章 約束
その言葉に、少しだけ寂しさを覚える。ここは高級ソープだ。そう何度も来れるような場所ではない。
私のささやかな願いは叶ったけれど、もう二度と叶わないかもしれない。そして所詮、お金だけの繋がり。愛は端から、そこにはない。
「ありがとうございました」
私は3人に向かって深々と頭を下げると、店長が事務所から飛んできた。
「お見送りが遅くなり誠に申し訳ありません、またどうかお越し下さいませ」
店長に促されて、私はまた頭を下げる。
頭を上げると、左馬刻さんと銃兎さんは先を歩いていったけれど、理鶯さんは立ち止まって私に微笑んだ。
「また来る。必ず、な」
その言葉に、胸がとくんと高鳴る。その言葉を、信じていいのだろうか。私の瞳が揺れると、理鶯さんは私の前まで来て顔を見下ろした。
「俺は、約束をしたら、何があっても絶対に守る」
一瞬見せた真剣な眼差し。それだけで幸せな気持ちで満たされた。
「お待ちしております」
また頭を下げて、理鶯さんを見送った。
――早くこの籠から出て大空へ羽ばたきたい。
でも、いつかまた会えるなら、その時まで私は籠の中の鳥でも良い、そう思った。
Fin