第3章 助けてくれたのは
「……兵長、さすがにもういいのでは、」
「…いいや、まだだ」
ペトラはあれからずっと私のそばにいてくれる。
ただ、兵長に手出しするなと言われて私たちをじっと見るだけ。
ごめんね、ペトラ。
私のせいでこんな苦痛を…
「………」
もう何回目だろうか。
「……限界です、兵長」
「誰が弱音を吐けと言った。続けろ」
「……」
こんなこと…っ
・
「誰が好きで制服の裾直ししなきゃいけないんですか!」
私が一番嫌いなのは、細かい作業。
さっきから糸が針にとおらない。
痺れを切らした兵長が「貸せ!」とぶんどって秒で通す。
顔に似合わず一瞬で針に糸を通す兵長はおかしい。
「これも訓練の一つだ」
「…訓練兵時代やったことないです」
「……キースに訓練に取り入れるよう言っておく」
大事な事だ。と兵長は言う。
…まあ確かに大事だろうけど…
「…また私の部屋に来て、暇ですね」
「……ガキの相手を任されてるんだよ」
「…え?」
え、誰かから言われてるの?
「誰からです?」
「そんなの、ミケに決まってんだろ」
「…ミケさん私の事嫌いなんですか?」
そんなに心配ならミケさんが来てくれたらいいのに!
こんなドS兵長ヤダ!!
そう思いながら、また糸がなくなってきたから針に通さなきゃならない。
…なのに、
コンコン
「失礼します!
リヴァイ兵士長はいらっしゃいますか!」
一人の調査兵がドアをノックし部屋に入ってきた。
「…なんだ」
「エルヴィン団長がお呼びです」
「そうか」
リヴァイ兵長は立ち上がりドアの方へ歩いていく。
良かった…
やっと解放される……
そう思ったのも束の間。
兵長はおもむろに振り返り私を見下ろしこう言い放った。
「…俺が帰ってくる前にこれが終わってなかったら…
どうなるかわかってるんだろうな」
「……」
……って、これじゃただの雑用じゃんか!!!!!!