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49番目のあなた【D.Gray-man】

第17章  想い思われ反発して



何故、自分の好きな人―――すみれが幸せに暮らしてほしいという、たったそれだけの願いが叶わないのか。

何故、自ら不幸になろうとするのか。




「…すみれは何も見えてねーさ」

見えてないどころか聞く耳すら持たないし、覚えてすらいないのか。
オレの気持ちが届いてないことを思い知らされ、愕然とした。






先日。
すみれとリナリーとオレの3人で街へ外出し、広場ですみれと社交ダンスをした時のこと。



『―――幸せに、なっていいんさ』

『え?』

『すみれは幸せになっていいんさ』

『ど…、どうして?』

『だってすみれが幸せそうだと、リナリーも科学班の奴らも幸せそうさ!

だから、その逆も然り。
…すみれが辛そうだと、みんなも辛そうさ。


だから、皆のために幸せになるんさ』





「覚えておいて」と、約束した。
あん時のすみれは満更でもなさそうだった、のに。





「…見えてない、って?」


そんなこともわからないのか。
いや、分かっているならこんな話になるハズがない。


「自分自身を痛めつけんのは。ちょっと違うんじゃねーの?」

「わ、私が言いたいのは、そうじゃなくて…!」

「いーや、一緒だろ」


ああ、止められナイ。



「自分を不幸にして、周りに気を使わすのは違うんじゃねーの?」

「私はっ、周りに気を使わせてなんて…!」

「まだわかんねーの?今、目の前に。
すみれのことを思って心配してる奴がいんのに。

それに、そう思ってんのはオレだけじゃ無ぇ」



そう、オレだけじゃない。
ジョニーもタップもリーバー班長も、科学班の奴ら全員そうだ。それにリナリーに、あのユウですら気にかけている。
みんな口にしないだけですみれを心配している。



「ッ、私なんかが…何をしたって、誰も「言うな」



“誰も心配しない”ってか?



みんなが、すみれの仲間達が、こんなにも想っている。
どうして本人に伝わらないんだ。どうして…ッ



「私なんかって言うな。自分を下げるな。
“そんなことない”って、他人に言わせる前ぶりさ?」

「そ、そんなんじゃ…!」


何でだろう、オレ。
すっげぇ上手に笑えている気がする。


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