第17章 想い思われ反発して
「オレが飲ませちまったから、仮眠室に連れてくわ…よっこいせ!」
ジジがすみれを背中に担ごうと、
――――――パシッ
「どうした?ラビ」
「…え?あ、その」
オレはすみれに触れようとしたジジの手を払い除けていた。
(どうした…って、そんなの)
「オレが運ぶ
…ジジ達は飲みすぎてフラフラさねー!」
「おっ、そうか?そんじゃー頼むわ!」
「了解さー!」
オレは何でもないようにサッとすみれを背負い、クリスマスパーティーで賑やかな食堂を後にした。
すみれを背負いながら、オレは先程の己の行動を振り返る。
“ジジがすみれに触れる”
そう思うより先に体が勝手に動き、ジジの手を払い除けてしまった。
―――耐えられなかった。
こんな姿のすみれを他の奴らの目に晒すことも、ましてや触れられることなんて。尚更。
「オレは、どうしたいんだろうな…」
暗い廊下でポツリと呟く。
今はすみれの顔を見ていつも通りに話せる気がしない。万が一目を冷ましても顔を見られないよう背負って良かった。
最近すみれに会えなかったから、今日は一緒に居られて嬉しかった。
すみれが猫語になったのは驚いたがニャーニャー言うすみれはとても新鮮で可愛かったから、もう少し一緒にいたかったなーなんて。
「ん…」
「お、起きたか?」
「……」
「すみれ、飲みすぎさー。今、仮眠室に」
運ぼうとしたところ、と言いかけたその時。
「……ラビぃ…」
――――――――ぎゅっ…
「なっ、ちょ…すみれ?!」
すみれの細い腕がオレの首に突然巻き付く。
「……ぐぅー…」
「え……寝たさ?!
〜〜〜〜はぁぁっ!ったく…」
すみれの行動一つに、こんなにも振り回される。正直、今はこのまま目を覚まさないで欲しい。どんな顔で居ればいいのかわからない。そんなことを思いながら仮眠室のベッドにそっ…と優しくすみれを降ろした。
「…この酔っ払いめ」
腹いせにすみれの鼻を軽く摘む。すると「ンぐっ」と苦しそうに声を上げた。
そんなすみれの反応が面白くて、仕方ないくらい可愛い。