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49番目のあなた【D.Gray-man】

第14章  距離



「隠してないさ、これっぽっちも。



じゃあ、今度そーゆー話になったら言うからな!
ドレス着て、センス持って『無礼者!』とか言ってたって♪」

「………ねえ、それは一体誰のこと?」

「え、すみれ?」

「いやいや、言ったことないし!?」


二人でふざけて笑い合う。
やっと昔の二人に戻れた気がした。


「あの頃と変わったな」

「え?」

「よく笑うようになったし。




つーか、すみれって結構酒飲めたんだな 笑」


前は全然飲んでなかったのにと、ラビはお酒をひとくち口にする。


“よく笑うようになったし”


気のせいだろうか

一瞬、ほんの一瞬。
すみれはこの台詞から、寂しさを垣間見た気がした。


「えぇ?前から飲めるよ!
飲むと会話もダンスも鈍っちゃうから、飲まないようにしてただけ」

「まぁ、こんな気兼ねない居場所はなかったもんなー」

「…ラビこそ、変わったね!少年から青少年って感じ?」

「そりゃ成長期だかんな!まだまだ大人になるぜ?」

当時も大人っぽかったけどー!とすみれは楽しそうに話すものの、少し目線を下に落す。


「それに、神田やリナリー達と居る時の、あんな風にはしゃぐラビの姿は………あんまり見せてくれなかったような気がする。


やっぱり、ラビだって変わったよ」


どことなく垣間見えた寂しさは、気の所為ではなかったようだ。
お互いの変化に、お互いに寂しさを感じていたなんて。


「…すみれの前では大人ぶってたから、俺」

「うそだぁ」

「悔しいけど、ホント!
ガキだったから、ちょっとでも大人に見せたかったんさ。

…でも、変わってないモノもある」

「?、なに?」

「これ」

そう言って、ラビは自身の首に巻き付けているモノに優しく触れる。

「すみれがくれたマフラー。
ずっと使ってた。使い勝手が良いだけじゃなくて……大事にしてた」

「ラビ…」

「もうすみれと会えないと思ってたから、こんなボロボロになっても手放せなかったんさ。

ーーーだから、また会えて嬉しかった」

「わ、私もだよっ!また会えて、本当に嬉しいよ…っ」

「ごめんな」

「え?」

「あんな別れ方になっちまって。
……ほんと、生きててくれてよかった」


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