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49番目のあなた【D.Gray-man】

第14章  距離



「そっ…そんなこと、ないよ!
ラビは私のこと、ちゃんと守ってくれたよ」

「あと、手」

「手?」

「ゴメンな、痛かったろ?」



ラビは優しくすみれの手を取り、己が叩いた箇所にそっと触れる。

食堂で別れ際に、すみれの手を払い除けた事を言っているのだろう。



「……ううん、全然。痛くなかったよ」


痛い


手なんてちっとも痛くないけど、心臓が痛い。
ぎゅうっと締め付けられて苦しい。

けど、この痛みは嫌いじゃない。



「ラビっ!」

すみれはラビの手をとり、握手をするようにギュッと握る。

「また、よろしくね

今度は科学班のすみれとして、ね!」


「すみれ…





ーーーーーあぁ。
俺もエクソシストのラビとして、さ!」


ラビはすみれの気持ちに応えるよう、自分より少し小さな手を力強く握り返した。


「…ねえ、今日までどんな旅をしたの?また新たな地に行ったの?」

「そうさね、アフリカ大陸にも行ってーーー」


もう、二人の間に寂しさは微塵もなくなっていた。
離れていた空白を埋めるように、日付が変わり周囲が寝静まっても二人の話し声が途切れることはなかった。









ピチチチチ…

鳥のさえずりと、窓から差し込む朝日の眩しさに目を覚ます者がひとり。


「ふぁ〜〜〜…全員、あのまま眠りこけちまったな」


頭痛ぇ、と呟きながらその辺に転がる部下達に毛布をかけるリーバー班長。まだ起こすには早い時間帯だ。


「…お?やっと仲直りしたか」


互いに頭をくっつけ、手を繋いで眠るすみれとラビを起こさぬよう、そっと毛布をかけた。

二人の、その距離はーーーー……








「すみれーっ!!」

「ちょ、ラビ!首苦しいっ!!」


後日、ラビとすみれが戯れ合う姿が頻繁に見かけるようになったとか。


「あの二人、仲直りしたんだね〜」

「「「よかった〜」」」

……と言う、ジョニー達がいたとか。



「なぁ!ラビ」

「何さ?ジョニー」

「すみれがラビの団服にフードはいらないって、言ってた理由知ってる?」

「?、知らねーさ」

「髪が華やかだから、隠れちゃうのは勿体ないって」



再び、ラビがすみれに飛びついたのは言うまでもない。



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