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49番目のあなた【D.Gray-man】

第14章  距離



フロア・ティエドール

“元帥”と呼ばれるエクソシストの上位階級者だ。きっとブックマンについて話を聞いているだろう。


「じゃあ、私はマー君と報告書を出しに行ってくるからね。ちゃんと挨拶しなさいよ、ユー君」

「ぁあ"?!」


ティエドール元帥は「バイバイ〜!」と手を大きく振りながら、ラビと“ユー君”と呼ばれていたアジア系男子をその場に残して行った。


「…」

「名前、なんて言うさ?」


とりあえず、挨拶だけしておこう。
面倒臭い。今はすみれの事もあり、早くこの場を立ち去りたかった。


「あ?」

「じゃあ、年は?同じくらいさね!」


得意のポーカーフェイスでヘラッと笑ってみせる。ラビの笑顔を見て、アジア系男子は女さながらな美形を歪めた。


「知るかよ。ヘラヘラしやがって、気持ち悪ィ」

「酷ぇさ〜!」

「お前、さっきまで殺気立ってたじゃねーか」

「…は?」

「あんなヒョロっちいすみれを抱きとめられねーんじゃ、エクソシストやってけんのかよ」

「!」


「あいつ、泣かせると面倒くせぇんだよ」と美しい黒い長髪をなびかせながら、ラビの横を過ぎ去ろうとする。


(ふーん?)


自分の方が、すみれの事知ってるとでも言いたいんさ?
全然面白くない

面白くねェ



「じゃ、色々教えてさ?





ユー君♪」


「……あ"?」


神田の美しい切れ長の目が、雷に打たれたかの如くカッと見開く。


「どしたん?」

「今、なんつった?」

「だから、ユー君」

「…ヤメロ」

「(お、地雷か?)じゃあ、名前おせーて?俺、ラビさ」

「はっ、言うかよ」

「じゃあ、ユー君さ」

「…チッ、神田だ」

「それじゃヨロシク!ユー君♡」

「俺のファーストネームを呼ぶんじゃねぇッ!」


神田の見開かれた目は血走り、額には怒りにより血管が浮き出ている。

え、なになに?
ファーストネーム呼ぶだけでこんなに良い反応すんの?コイツ、面白ぇーんだけど 笑


「元帥には“ユー君”って言われてたじゃんか!愛されてるさね、ユー君♡」

「ふっっっざけんな、テメェーーーー!!!」


ドンガラガッシャーーーーンッ



神田の堪忍袋の緒が切れ「六幻…ッ」と食堂で抜刀した所を、リナリーやすみれ達が慌てて仲裁したのは言うまでもない。
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