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49番目のあなた【D.Gray-man】

第14章  距離


動揺したすみれは体を大きく揺らしてしまい、脚立がグラグラ揺らつく。

やっ、ちょ、これ!
お、落ちっ!落ちるっーーーーー


「きゃっ すみれ!?」

リナリーの可愛い悲鳴が聞こえた。



なんで

なんで こうゆう時、落ちる瞬間がスローモーションに見えるんだろう。



天井に向って手を伸ばすも、脚立を掴むどころか触れることすらできず。床に落ちる時の痛みを覚悟する。

浮遊感に襲われるも、何故か人肌を感じる温かさに包まれた。そしてドサッと音を立ててすみれは落下した。





「痛っつー」

「え?」


直に床に叩きつけられたかと思えば、ほとんど痛みはない。ラビが下敷きになり、衝撃を和らげてくれたからだった。


「えっ、うそっ?!ご、ごめっ」

「怪我は?!大丈夫さっ…?!」


すみれが謝り退く前に、ラビが切羽詰まった様子ですみれの両肩をガシッと強く掴み、怪我がないか確認する。
その必死さから、自分を心配している様子が汲み取れた。


「どこも痛いトコねぇさ?!」

「う、うん」

「…良かったさ」


ラビは安心したようで、ハァーと溜め息を深く吐き出した。そんな彼の姿に、不謹慎だと思いつつすみれの心はじんわりと熱くなる。


「ラ…、そ、そっちこそ、大丈夫なの?!」

“ラビ”と呼ぼうとしたものの、避けられている事を思い出してしまい、躊躇ってしまった。

「俺はなんとも。つーか、受け止めきれなくて恥ズイ!」

「あ、ありが…」

すみれは慌てて退いた際、ラビの格好に気付く。目を見開き「あ、」と声を漏らす。



「すみれ!ラビ!大丈夫?!」

リナリーは二人のもとへ駆け寄る。

「う、うんっ」

「ダイジョーブさ」

リナリーも二人の様子にすぐ無事だったことがわかり、ホッと胸をなでおろす。

そして、彼女もラビの格好を見て「あ!」と、すみれと同じ反応を示す。



「団服、出来たんだね!似合ってるよ」

リナリーは手を合わせ嬉しそうに笑う。



そう、ラビは黒の教団の団服を着用していた。




「サンキュー!リナリーとお揃いさ〜♪」

「ふふっ。ラビはロングコートじゃないんだね!」

「そーみたい。コレ、結構デザイン凝ってんなぁ」
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