• テキストサイズ

49番目のあなた【D.Gray-man】

第14章  距離



科学班のメンバーとリナリー、そしてラビが楽しそうに話しながらラボに向かう。
ラビは数日前に黒の教団に訪れたばかりだが、あっという間にみんなの輪の中に溶け込んでいる。

そこにはすみれが見たことのないラビの姿があった。


(よく知っていた、見慣れてた背中なのに…知らない人のみたい)


すみれは皆の少し後ろを歩きながら、少年から青少年へ成長したラビの背中を見ていた。
先程、自分が発した言葉を思い出す。


“ぶ…ブックマンのことは、知らなかったよ!”


ディック…じゃなかった、
ラビ自身について触れて良いかわからず、そう答えてしまった。 


(というか、“ブックマンのことは、”って…!)

ちょっと含みのある言い方になってしまっただろうか。
ブックマンーーーあのお爺さんとは、知り合いじゃなかったという意味で言ったのだが。

(言い方、間違った気がする)

ラビにとって、嫌味な言い方をしたかもしれない。



すみれはラビと再会後、リーバー班長にブックマンについて話を聞いた。

『“ブックマンとは、世界中の裏歴史を記録する者。”

ーーーー世界中を飛び交い、歴史に除外される歴史を記録するらしいぞ。』

「そんであの爺さんがブックマンで、少年がブックマンの後継者、Jrだそうだ。」とリーバー班長は付け足した。
科学班の皆も初耳のようで、「へぇー」「ただの一般人じゃないんですねぇ」なんて言っていた。


“世界中の裏歴史を記録する”


(そうだったんだ)

当時のディックについて不思議であった事に、全て当てハマったきがした。

信じられないくらいの多国・多民族の言語や歴史を修得していたこと。
色んな国を訪れていたこと。
自分自身について色々語らないところ。

ーーーーそして、素性を明かさなかったところ。


(あの時言ってた家業は、“ブックマン”のことだったんだ)

歩く度に揺れるラビの赤髪を見て、すみれはそんな事を思っていると、


「すみれ!そんな後にいたら、置いてくわよ?」

「ちょ、待ってよリナリー!」

「すみれてば、鈍臭いなあ」

「もうっ!ジジってば!それは余計ー!」


みんなの輪の中に戻る際、ふとラビと目が合いニコッと笑ってくれた。しかし、喜ぶ間もなくすぐにサッと逸らされてしまった。
/ 355ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp