• テキストサイズ

49番目のあなた【D.Gray-man】

第14章  距離


「(…っ)ちょっとな。ここに来る前に!」

ニコッと笑ってみせる。それ以上、すみれの他所他所しい態度を見たくなかった



“ブックマン”

すみれの口から発せられた言葉
きっと、すみれもブックマンについて話を聞いたはず

俺がブックマン後継者と聞いて、すみれはどう思ったのだろう
当時、俺が素性を明かさなかった理由に腹を立てただろうか

だからすみれは俺の扱いも、他の奴らと同様に接するのだろうか


「私的には!団服にこんなブーツがいいのっ!」

気まずい空気はどこへいったのやら、すみれは再び科学班の連中とお熱い議論をしている


「イノセンスの収納ホルダーはこんなのどうだ!?」

「いやいや、もっと機能性上げねーと!」

「でも折角だからデザインはさあ、」

「いいからテーブルに座るなジョニーーー!!!」


リーバー班長の怒号が響き渡るも、誰も気にしちゃいない。科学班の連中の、団服について熱く語っている目は…


「…目、キラキラしてない?」

当人のラビを置き去りにして、すみれと科学班はわちゃわちゃと盛り上がる。その様子は新しい玩具を手に入れて喜ぶ子どもの姿だ


「皆、仲間になったラビを守りたいんだよ。図ろ?」

リナリーはポンッとラビの肩を叩く。

(…仲間、か)


AKUMAとの大戦。今まで見た中で一番大きな戦。兵士になって記録に入ったのは初めてだ


「んじゃー、カッチョイーバンダナ作って♡」

「いいよ!」

「ジョニーそうゆうの得意だぞ!」

昼食を取り終え、皆で騒ぎながら科学班のラボへ向かう。ラビとジョニーが話をしていると、その間からひょっこりとすみれが顔を出した


「私も団服の制作してるの…いいかな、作っても」

少し不安そうに、ラビの顔を覗き込む。

俺の事を突き放したかと思えば、こうやって擦り寄ってくる。胸の中にモヤっとした苛立ちと、話しかけてくれる嬉しさが渦巻く

しかし、ここはポーカーフェイスで。いつもの笑顔でニコッと笑う


「…ヨロシク」

こいつらもーーーすみれも
いつか、歴史から除外されていくんだろうか

(エクソシストねぇ)

こんな風に歓迎されたって、いつかは此処を去る。すみれを置き去りにしたように。

(俺に希望寄せてもムダだぞー)



/ 355ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp