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49番目のあなた【D.Gray-man】

第14章  距離



「なあ、ジジイ」

「なんじゃい」

「あの時、何で俺を咎めなかったんさ?」


ほんの一瞬、食事をしているブックマンの手が不自然にピクリと動く。ラビはそれを見逃さなかった。


「ほう、あの時とは?」

「惚けたフリすんな、その場に居ただろ」


あの時とはーーー俺がすみれに深入りし、戦争の最中に彼女を助けた時、そして


「俺が、ブックマンの掟をーーー」


「破ったとき」、そう言おうとした時




「ラビ!ブックマン!」


鈴を転がすような声で2人の名を呼んだのは、リナリーだった。
リナリーの登場で、先程の重苦しい雰囲気が一変する。


「お、リナリーじゃんか!」

「私も一緒にランチしていい?」


このとても可愛らしい少女は、リナリー・リー。黒の教団室長の実の妹であり、数少ないエクソシストの1人である。
教団一の美少女である彼女の顔には、似つかわしくない大きなガーゼが貼られている。数日前、任務で傷を負ったようだ。

そんな怪我を気にもせず、ニコニコと見惚れるような笑顔で接してくれる。AKUMAとの大戦で負った傷は、体だけではないだろうに。


「(……。)もちろんさ♪」

「わしは先に戻っておるぞ」


ラビはニコッと人懐こい笑顔を向けるも、ブックマンは食事のトレーを持ちさっさと席を立つ。


「ちょ!ジジイ、待つさ!話の続きは、」

「さて、何のことかのう。わしは一服してから部屋に戻る。ゆっくり食べて来るがよい」


そう言い残し、ブックマンはラビを置いて食堂を出ていった。


「…私、一緒にいいのかな」

「気にせんで?ジジイの奴、忙しくてさ。俺もまだ食べてねーし!」


「隣に座るさ♪」と、ラビは空いている椅子をぽんぽんと叩き、戸惑うリナリーを催促する。リナリーが嬉しそうに椅子に座るのを確認して、一緒に昼食を食べる。

ラビはやっと、トレーに乗った冷めたパスタをーーー大きなエビや貝が沢山のっているペスカトーレを、口に運び始める。あ、コレ旨っ!

頬張って食べているラビに、リナリーが話しかける。


「今度ね、歓迎会をやろうと思ってるの!」

「歓迎会?」

「そう!ラビとブックマンの歓迎会」

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