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49番目のあなた【D.Gray-man】

第14章  距離



「マジで?そんな事してくれるんさ」

「あっ、でも、皆じゃなくて。ホント少人数で、ささやかな歓迎会なんだけど」

(ふーん。聖戦してるとはいえ、歓迎会なんてするんさね)


ペスカトーレを口いっぱい運びながらそんな話をしていると、白衣を着た賑やかな集団がこちらに向かって歩いてきた。
その集団の中に、楽しそうに仲間とじゃれ合っているすみれがいた。

そんなすみれの姿(ましてやむさ苦しい男達にもみくちゃにされている所)を見るのは初めてで、なんだかモヤっとした。

俺と一緒にいた時の笑顔や、貴族令嬢を装う時の笑顔とはまた別の。こう、じゃれ合っている姿というか。砕けた笑顔というか、素のすみれというか。俺の知らない姿があった。

(…ふぅん、あんな風に笑うんさね)

チクリ、と胸の奥が痛む。
あれから、すみれと話をしていない。

話す機会が全くなかった訳ではない。
どう接していいかわからなくて、俺がすみれを避けている。
ブックマン後継者である俺が、誰とでも親しくなれる俺が。こんな事で戸惑っている。

口にペスカトーレを含んだまま、胸の痛みに気を取られていると


「ラビ!体のサイズ図ろう!」

「は?」

突然、ラビの視界は瓶底メガネの男の顔でいっぱいになる。び、びっくりしさ。確か、コイツの名は…

「ジョニー!これから昼食?」

「そうだよ!リナリー達は食べた?」

そう、科学班のジョニー・ギルだ。

「ラビの団服作ろうと思って!だからサイズ図らせて」

「体のサイズ?んなの別に適当でいいけど」

「えぇ?!そんなのダメだよ!」


ジョニーは団服の機能性について熱弁しだし、いつの間にかテーブルの上に座り込んでいた。


「ちゃんと体に合った団服の方が、防御率が上がるんだよっ」

バンダナもつくろっか?と、ジョニーはメジャーを出しながら、わくわくした表情でラビに撒くし仕立てる。

「それにやっぱ動きやすいしさ。AKUMAとの戦闘でもきっと役に立つから」

「行儀悪いぞ、ジョニー!」

「ラビは神田みたいなロングコートは似合わねーよなー」

「ブックマンもね!あはは」

気付けばラビとリナリーを囲むように、科学班のメンバーのロブ、タップ、ジジ、リーバー班長、そして


「どんな団服がいいかなあ」


すみれが傍に寄っていた。
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