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49番目のあなた【D.Gray-man】

第13章  現在に至るまで



「あ、最近ね。素敵だなって思うことがあったの!」

「お!なになに?」

すみれのひと声で、俺は思考から会話へ意識を戻す



「この間のお茶会でね、ご高齢の貴婦人と会ったんだけど!
旦那様はもちろん、子ども夫婦や孫と仲良くて!『いつ死んでもいいくらい幸せ』って言ってて…本当に、すごく幸せそうだなあって!!」

すみれは目を輝かせながら、その貴婦人の話をするも…

「……で?」

「で?、って?」

「いや、だから今話してた夢と関係あんのかな、と」

「えぇ?!あるよ!!」


(いやいや、すみれの意図が全然読めねえさ!)


「だからっ!人間の幸せって、そうゆうトコにあるのかなあって思ったの!」

「えーと。つまりは結婚とか、玉の輿ってことさ?笑」

「またそうゆうこと言う!…でも、そうかもね」


ふざけて言ってみたことに対し、すみれはすんなりと納得する。「でも玉の輿は違う!」と即座に否定した。その反応に俺は拍子抜けした


「えっ、前は結婚が全てじゃないって、言ってたじゃんか」

「もちろん、そうだよ!」


(…すみれの言わんとしてる事が、全然わかんねぇさ)


俺が密かに頭を悩ませていると、すみれが話し出す。

「自分の人生を振り返った時に、大切な人がいることって、幸せな事だなあって思ったの。」

「…へえ」

俺は黙ってすみれの話に耳を傾ける。

「ちょっとね、想像しちゃったの。
自分が死ぬときに、子どもがいて、孫がいて。泣いて看取ってもらえる人生だったら、素敵じゃない?」

「…うーん、なんつーか。先のこと過ぎて、イマイチ想像できないさ」

「えー」

「やっぱ“夢”って言ったら、やりたい事を叶えるとか、偉業や名を歴史に残すとかじゃねーの?」

「うーん、そうかぁ…じゃあ、私の夢はー」

「うんうん」

「今、勉強している事が誰かの役に立って…大切な人が沢山いるようになる事、かな!!」

「何さそれ!曖昧すぎじゃね?笑」

「いいんですぅ〜!やりたい事もやって、幸せだなあって思える人生にするのが、私の夢なの!」

「へいへい。ある意味すみれらしいさ〜」

「もう!適当な返事ばかりしてー!」


すみれは怒ってみせるものの、ちっとも怒っていない。そんなやり取りがとても心地好かった。
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