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49番目のあなた【D.Gray-man】

第13章  現在に至るまで


(こんなにも、悔しいのにッ…)

言葉が出てこない。身体が動かない
そんな自分に悔しくて、情けない


「すみれを介して得た相続金も、底を尽きた。結婚させて結納金でも頂いて、お前の嫁ぎ先からAKUMAの取引を増やそうと思ったが…」


カチャ


叔父は降ろしていた銃先を、今度はすみれに定める。

「もう用無しだ。“冥土の土産話”もくれてやったんだ。ーーーここで、死ね」

「やめろッ!!」


ディックがすみれの前に飛び出し庇う。
どこから出したのか、ディックは短剣を握り気づけば叔父との間合いを詰めていた。


カキンッ


ーーーーーーーカシャン


ディックが短剣の柄で、叔父の手から一瞬で銃を払う。そして銃は、すみれの手元にカシャンッと音を立てて落ちた。


「痛ッ…!小僧、何をするッ!」

「それはこっちのセリフさ」


二人の押し問答と叔母の声が、すみれには遠く感じる。すみれは手元に落ちてきた銃を見つめる。



(叔父様と叔母様に、感謝しろ…?)

私から大切な両親を奪ったのは、あなた達でしょう?


(っ、ふざけ、ないで…!)

憎い
叔父と叔母が憎くて、仕方ない


(返してよ…!)

お父さんとお母さんを 返して!!








「…して…る」

「すみれ?」

ふらりと立ち上がるすみれに、ディックは声をかける。すみれはぶるぶると震える手で銃を拾う。

そしてディックの背後にいる、叔父と叔母に狙いを定めた。


「おい、すみれ…!」

ディックの焦る声と、叔父と叔母の「なっ…!?」「ひぃっ…!」と短い悲鳴の声がした。


「そんなもん、持つなさっ!!」


ディックの焦る声が。
銃を手放せと、発泡するなと、言っていることがわかるくらい、私は冷静だ。


「…して、やるっ」


それでも、止められない
両親を失ったこの悲しみと


「…殺して、やる…ッ!」


両親を殺された憎しみは、止められない


「すみれっ!!」

「…殺してやる!」

「やめるさ!」


ディックは銃を構えるすみれの前に立ちはだかった。
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