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49番目のあなた【D.Gray-man】

第13章  現在に至るまで



「死者を生き還らせると言って取引するなんて…死者に対する、冒涜だわ…っ!

そもそも、そんな嘘にひっかかるわけ」


「嘘ではない」


叔父はすみれの言葉を遮る。


「死者の魂を、この世に呼び戻す…それは、本当さ」

「…嘘よっ!そんなこと、できるわけっ」

「できる!」

再び、叔父はすみれの言葉を遮り話し出す。

「あのお方なら、そう。千年伯爵なら、それが出来るのだ!」


叔父は両手を広げ、彼をそう讃える。すみれの疑心暗鬼の目など全く気にせず、話し続ける。


「死者に会いたい生者を探し、彼に引渡す。それがすみれが問うた“危ない取引”と“亡くなった顧客リスト”に対する答えだよ。

…これがまた単純で、莫大な金を産む」

はははは!と、叔父は似合わない高笑いを講堂に響かせる。


「…全くもって、意味がわからない。死者の魂を呼び戻すなんて…ッ!」

「千年、伯爵」

すみれは何気なく、ぽつりと呟いたディックを見やる。

ディックの視線は叔父に注がれていた。その隻眼の目はとても冷静で、かつ軽蔑するような目つきだった。

ただ、その“センネン伯爵”というワードはディックにとって良いものではないらしい。
彼の頬には引きつった笑顔と、冷や汗が浮かぶ。


(一体なんなの?“センネン伯爵”って…)


叔父は再び話し出す。

「そして、彼の手によって死者の魂と、生者が1つになり、“AKUMA”が生まれる。

二人は片時も離れず一緒だ…永遠に、な。」


「アクマ…?」

“アクマ”とは、あの悪魔だろうか?
お伽話に出てくる、悪者の魔物。

叔父はとうとう、そんなキャラクターの名まで出しだした。

(どうかしてるわ…狂ってる)

「ばっ…」

バカにしないで!と、すみれが言いかけたとき、


「千年伯爵、死者、生者…そして、AKUMA。その話は本当なんさね」

「え…?」

ディックは引きつった笑顔で、叔父に言う。


「ほう?少年は何か知ってるようだな」

「…まさか本当に、“ブローカー”に会うとは思わなかったさ」

「ブ、ブローカー?」

ディックと叔父は一体、なんの話をしているの?


叔母を見るも、驚いた様子もなく私達のやり取りを見守っていた。すみれだけが、会話についていけていなかった。
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