第11章 Xmasと、おめでとう《番外編》
「へぇ〜楽しそう!」
「その場にいる最年少の奴が、誰がどれ食べるか決めるらしいんで…俺最年少!ってことで、俺の分こっちさ♪」
ガレット・デ・ロワを、俺とすみれの二人で分ける。黙々と食べ進めると、
ザクッ
(おっ!)
「…当たったさ!」
そして、当たった人は王様となる。
だから、すみれにーーーー
「え、ディックも?私もなんだけど!」
「へっ?!そんなことある??」
俺は口に入ってしまった陶器人形を、べぇっとすみれに見せた。
それはすみれのガレット・デ・ロワからたった今出てきた、同じ白いウサギの小さな陶器人形だった。
「お店の人が、間違って2つ入れちゃったんだねえ」
「(マ、マジか……!!!)じゃあ、今年俺ら2人とも幸せになるってことで♪」
俺はお店の人に言われた事を思い出す。
『ガレット・デ・ロワの陶器人形が当たった人はその日、王様になり皆から祝福される。
そして、王様になった人は、相手の王妃様選ぶーーー。』
だから俺に陶器人形が当たったら、すみれに言っみようと思ってた。
“今日1日、俺の王妃様になって”
(…言ったら、すみれはどんな反応したかねえ)
テーブルに並んだ、白いうさぎの陶器人形はまるで恋人のようで。
俺の叶わない想いを、替わりに叶えてくれているように見えた。
(…幸せは、欲張っちゃ駄目さね)
今、目の前にある幸せを大切にしたい。
俺は生きて、すみれに再び会いたかった。
それが叶っただけで、充分さ。
「俺さ」
「うん?」
「こうゆうハロウィンとか、Xmasとか、年末年始とか。どーでもいいって思ってた。」
すみれと一緒にいるだけでいいって思う反面、すみれと一緒にいる度に欲張りな俺が現れる。
「でも、すみれとハロウィン楽しんでみて思ったんさ。日常の日々に彩りを与えるのは、たまにある娯楽なんかなって。
…こうゆう季節の祝い事の意味も大事だけど、それを誰かと共有して、過ごすことに意味があるんかなって。」
それを教えてくれたのは、まぎれも無くすみれさ。