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49番目のあなた【D.Gray-man】

第11章  Xmasと、おめでとう《番外編》



「へぇ〜楽しそう!」

「その場にいる最年少の奴が、誰がどれ食べるか決めるらしいんで…俺最年少!ってことで、俺の分こっちさ♪」

ガレット・デ・ロワを、ディックとすみれの二人で分ける。

「「いただきくさ〜!」いただきま〜す!」」

パイ生地のシンプルなお菓子だが、サクサクしていてとても美味しい。パイ生地の食感と風味が際立つ。
二人で黙々と食べ進めると、

ザクッ


「「あっ」」

「…当たったさ!!」

「え、ディックも?私もなんだけど!」

「へっ?!そんなことある??」


ディックは口に入ってしまった陶器人形を、べぇっと見せてくれた。
それはすみれのガレット・デ・ロワからたった今出てきた、同じ白いウサギの小さな陶器人形だった。


「お店の人が、間違って2つ入れちゃったんだねえ」

「……じゃあ、今年俺ら2人とも幸せになるってことで♪」

「そうだね、作ってくれた人に感謝しないとね!」


二人で笑い合い、美味しい物を食べ、楽しい時間を共有する。

(幸せ、だなあ)


テーブルに並んだ、白いうさぎの陶器人形はまるで恋人のようで。
今の私とディックも、そう見えるのではないかと浮かれてしまうぐらい。


「俺さ」

「うん?」

「こうゆうハロウィンとか、Xmasとか、年末年始とか。どーでもいいって思ってた。」

縁がなかったってゆーのもあるけど、とディックはお茶を飲みながら話しだす。

「お祭り騒ぎが好きな奴らの楽しみだって。意味も分からず、どんちゃん騒ぎしたい奴らだって。…ちょっと、馬鹿にしてたさ。」

「…」

すみれは黙ってディックの話に耳を傾ける。

「でも、すみれとハロウィン楽しんでみて思ったんさ。日常の日々に彩りを与えるのは、たまにある娯楽なんかなって。

…こうゆう季節の祝い事の意味も大事だけど、それを誰かと共有して、過ごすことに意味があるんかなって。」

紅茶に目線を落とし、心の内を話すディックから目線を外すことも、頷く事も、すみれは出来なかった。

「何気ない日々の感謝を、こうゆうイベントに乗せて伝えるもんなのかなって…ちょっと、思ったんさ。

だから、」


カチャ…

ディックはティーカップをテーブルに置きすみれの隣へ移動し、腰を屈め目線を合せる。
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