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49番目のあなた【D.Gray-man】

第11章  Xmasと、おめでとう《番外編》



「寒かったでしょう?中に入って!」

「…今日は、もう帰るさ」

「えっ?」

「元々、すみれに会えるなんて思ってなかたったし」

「…なのに、来てくれたの?」

「まあ、その、なんっつーか…おう。だっ、だから!日はもう十分なんさ!」



(とうしよう…)

すごく、すごく嬉しい。

顔が火照ってるのがわかる。これは寒さからではなくて、照れからくるものだ。心臓がぎゅうっと締め付けられる。



「…明日!また来るさ!」

そんなすみれを余所に、じゃあな!とディックは踵を帰そうとした。

「ま、待って!」

がしっ

「ぐぇっ!ちょ、く、首!首締まるッ!」

すみれは窓から体を乗り出し、咄嗟にディックの白いマフラーの端を鷲掴みした。

「ご、ごめん…!いつ、来るの?」

「?、だから明日さ」

「明日の、いつ?何時っ?」

またディックに会えなくなってしまうんじゃないかと、急激な不安に駆られる。
思わす、不安そうに聞いてしまった。

「……朝イチ、」

「え?」

「朝イチの9時。…早すぎ?」

「ううんっ、全然!!」

「すみれに、話したい事いっぱいあるんさ。土産もあるし、ハロウィンの借り物も返したいし?」

「うん…」

「…明日は遅めのXmasと年末年始のパーティーしようぜ!だから、」

ディックはすみれの後頭部に手を回し、

「わっ?!」




自身の方へ引き寄せ、お互いの額を突き合わせた。

「そんな不安そうな顔すんなって!」


帰れなくなるだろ?と、ディックはいたずらっ子の笑顔をすみれに向ける。

(あぁ…見慣れたディックの顔だ)

ディックが帰ってきたと、やっと実感出来た気がした。


「…うん、ありがとうっ」

「ダイジョーブさ?」

「うん、もう大丈夫だよ」


ディックはすみれから手と額を離す。それが名残惜しく寂しいのは、内緒だ。


「じぁな!また明日さ!」

「うん!待ってるからね!」



“また明日”

この言葉を、こんなにも嬉しく感じたことはあっただろうか。


(…明日は、会える。明日も、会える!)


すみれはディックの姿が見えなくなるまで、窓を開けてディックの見送りをした。




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