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49番目のあなた【D.Gray-man】

第11章  Xmasと、おめでとう《番外編》



「見た目は酷いけど、あんま気にせんで?」

あはは!と、ディックは頭をかいて笑ってみせる。その笑顔が作り笑顔の仮面であることくらい、わかる。

(ーーーーー嘘つき。)


「俺、こんなでもめっちゃ元気さ!」

そうやって私に心配させまいと、何も聞かせまいと。明るく振る舞ってくれるのが、尚更悲しくて切なくなってしまって、



「……か、」

「すみれ?」

「…ばか、」

「へ?」

「ばか!ディックの、ばかばかばか!!」

「えっ、ちょ、なんさ?!」

「ばかって言ってるの!!」

「え、すみれ、さん…?!!」


私が暴言吐くのも、こんなに怒るのも、ディックは初めて見ただろう。心底驚いている。

(…ディックは、何もわかってないっ)

ディックは隠すことに必死なんだろう。
私がその姿に、心配してることをーーーー


「…言いたいことは、いっぱいあるんだけどね」

ぐゎしッ

「は?!」

すみれはディックの服の首元を鷲掴みし、自分の元へ引き寄せる。


ーーーーそんなディックを守ってあげたいと、思わされてしまったことを。



ぎゅっ…


「会いた、かった…!」

すみれは、ディックを抱き締める。



ーーーーディックは、きっと私の気持ちに気づかないだろ。



「会いたかったよ、ディック」

「………おう。」

「心配、したんだよ」

「…悪かった、さ」

「ありがとう」

「え?」

「会いに来てくれて、ありがとう…すごく疲れてるでしょう?体も冷たいよ」

「…ッ」


すみれは自身が着けていたマフラーを取り外し、ディックの首元に巻いた。


「すみれ…?」

「あげる」

「え?」

「このマフラー、私が編んだんだ。Xmasプレゼントに、ディックに渡したかったの。


…遅くなっちゃったけど、メリークリスマス!ディック」

「…」

「?、ディック?」

「…ん、ありがとさ」


ディックはマフラーに顔を深く埋めた。
ディックの反応が少し淡白に感じ、すみれが様子を伺っていると、


「すげぇ、あったけえ」

「ほんと?」

「あぁ…めっちゃ暖かいさ」

「ふふ、良かった」

「…めちゃくちゃ嬉しいさ。めっさ大事にする」


ディックはマフラーの感触を確かめるように、両手でぎゅっと掴んでいた。
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