• テキストサイズ

49番目のあなた【D.Gray-man】

第11章  Xmasと、おめでとう《番外編》






サクっ  サクっ

降り積もったばかりの、真新しい雪を踏みしめる。暗闇の夜でも、少しの街頭で道を埋める白い雪がよく見える。



(やっと、戻ってこれたさ…)

すみれのいる国へ、すみれの住む街へ。

(…約束、守れなかったな)

Xmas頃には会えるだろうと、書き置きを残してきたのに。Xmasどころか、年末年始も終わってしまった。

(すみれに、会いたい)


本当に、疲れた。
身体的にも、精神的にも、色々なものを削ぎ落とされてしまった気がする。

(会えなくても、いい)

いつもすみれが待っていてくれる、あの場所へいきたい。こんな夜なのだから、すみれが書庫室にいる訳がない。

(少しでも、すみれのぬくもりを感じたい)

その一心で、ボロボロの身体にムチを打って向かう。







(すみれ、何してたんだろ)

すみれと知り合ってから、こんなにも長く顔を合わせなかった事はない。
もしかしたら、姿をくらませてしまったと思わせてしまったかもしれない。

「俺の方から、距離を置かねえとって思ってたのに…」

むしろ今は、すみれのぬくもりを求めている。すみれの側に行きたくて仕方ない。

「言ってる事と、やってる事が全然違うさね……やっぱり、俺ってダセぇ」

ハハッと空笑いが漏れる。
すみれの屋敷に着き、裏庭の書個室がある方へ回る。

(すみれ、何してっかな…)

きっともう、夕飯は済ませて部屋でのんびりしているだろう。安全な、温かい部屋で。勉強や読書をしているに違いない。


(…良かった)

すみれは安全な場所に居て、本当に良かった。心からそう思う。

しかし、すみれの周囲で不穏な空気が漂っている事は事実だ。だから仕事として、“ブックマン”として、この地に留まっている。

(どうか、このままで。
すみれがこのままでいられますように…)

いつもすみれがいる書個室が近づき、中は暗い、





「はっ…?」

はずが、明かりが灯っている。
それどころか窓は開け放ち、窓枠で腕枕をし伏せってる、





すみれの姿が。
/ 355ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp