第11章 Xmasと、おめでとう《番外編》
手芸屋で買い物を済ませ、馬車を待たせている場所に向かって歩を進める。
(早く帰ろう)
街をいくら見渡しても、求める姿は見つけられない。
このXmasカラーも、歌も、雰囲気も。
今は何故か、どうしても楽しめない。
(きっと、それは…ーーー)
どんッ
すみれの背中に衝撃が伝わる。
「ヤッホーー☆」
「わ?!わ、わ?!!」
「すみれ〜!ハロウィン以来だねェ♪」
「ろ?!ロード、ちゃん……?!!」
元気だったぁ?と、ロードはすみれの腰に後ろから抱き着いている。
すみれは突然のことで状況が飲み込めず、1人わたわたと焦る。そんなすみれを見て、ロードはいつもと変わらず楽しそうにケラケラ笑っていた。
「すみれ、ちょっと時間あるぅ??」
*
そんなこんなで(?)、すみれはロードとカフェでお茶をすることになった。
「ボク、ここに来てみたかったんだぁ☆」
「なんていうか、すっごい……可愛い?ファンシー?なお店だね!?」
一応、Xmas仕様になっていることは分かる。分かるが、普通のカフェではない。
色もカラフルで、蛍光色が沢山使われた店内には星やハート、キラキラしたもの、ふわふわしたもの、ギラギラしたもの、不思議な物で溢れかえっていた。
店員さんを見るも見慣れた黒のメイド服ではなく、ピンクや水色だったり、フリルがこれでもか!ってくらい装飾されてたり、真っ赤なタイツだったり…お化粧も睫毛がカラフルで、頬にタトゥー(多分シールかな?!)があったりした。
「ふふふ、すみれってば!キョロキョロしすぎ〜!」
「ご、ごめんね!こんなお店来たことなくて!」
「すっごく可愛いよねぇ。でもなかなか連れてきてもらえなくてさーあ!」
「お待たせしました、パフェでございます。」
お人形のように美しいが奇抜な店員さんが、すみれとロードが注文した品をテーブルに並べる。
「カッワイイ〜☆」
「こ、これを食べるの…?」
パフェのクリームや乗ってるお菓子たちの色が、緑や青、紫など。どうしたらこんな色を出せるんだろう?!
(こ、これだとなかなか、連れてきてはもらえないよなあ)
すみれは心の内で、ロードの家族に同意した。