第11章 Xmasと、おめでとう《番外編》
「…わあ、綺麗。」
冬は乾燥するため、夜空の星達の瞬きがよく見える。
バルコニーにて、夜風に当る。
ドレスで冬の夜風は寒すぎるが、一瞬で思考が冷静になった気がした。
(…うん、大丈夫。)
いくら考えたって、ディックの思考がわかるわけない。
ディックの気持ちなんて、そんなのディックにしかわからない。いつまでくよくよしたって仕方ない。
(ディックに、聞こう…)
ディックは私のこと、どう思ってるの?
私はディックのことが
好きだよ
「…っ」
心の中でシュミレーションしただけで、頬が火照る。ディックの気持ちはわからないが、なんとなく。なんとなく、確信がある。
だから、聞こうと思う。
きっと、“俺も”って言ってくれるんじゃないかと思う。
……想像しただけで、ドキドキが止まらない。
Xmasプレゼントと一緒に、思いを告げよう。
だから、早く屋敷に帰って、続きをやらなくちゃ。
(ディック、喜んでくれるかな)
今、マフラーを編んでいる。
ディックからストールを貰ってしまった(処分できなかった)ので、お返しにと思って編み始めた。
時期も時期なので、Xmasプレゼントにしてもいいかなって。
(早く、編まなきゃ)
ディックと会える、その日までに。
早く、会いたい
「?、すみれご令嬢、どうかなさいました?」
「いえっ!何でもありません!」
彼と距離が近い気がして、少し距離を取る。
ディックとの距離が近くても、距離を取ることなんて絶対にしない。
ああ、もう頭の中はディックのことでいっぱいだ。
「そろそろ中へ戻りましょう?ダンスの次曲も聞こえ…」
歩を進め、バルコニーを立ち去ろうとする
がしっ
「…すみれご令嬢、本気でソレ言ってます?」
腕を捕まれ、振り解こうとしたが相手の力がそれを阻止する。
何故か嫌な気がした
「…ッ
これ以上の時間をここで過ごしたら、お互い風邪を引いてしまうでしょう?」
「それでしたら二人きりになれる、暖まれる所に行きましょう!ご案内致しますよ」
ぐいっ
「わ…やっ?!」
無理矢理に腕を引かれ、彼の腕に閉じ込められる。
「……ッッ!!」
ぞわわッ
すみれの肌には、寒さからでない鳥肌が立つ。