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49番目のあなた【D.Gray-man】

第11章  Xmasと、おめでとう《番外編》




《  すみれへ

次に会えるのはXmas頃だと思う。

すみれに借りたハロウィンの仮装は

大事な物だから、直接返すさ!

窓閉めて、暖かくしてくれよ。

風邪引くなよ


ディック  》





「…通りで、寒いわけだ」


仰向けで、厚い雲に覆われた曇り空を見れば。
ひらりひらりと、雪が舞い始めていた。



「ディックの、ばか」


何で、起こしてくれなかったんだろう。
そのまま帰ってしまったんだろう。


「もう、意味わかんない」


ディックが何を考えているのか、わからない


すみれは両手で顔を覆う。
すみれの心は雪が降る空と同じ、どんより曇り空。

身も心も寒いすみれに関係なしに、雪はこんこんと降り注いだ。




* * *



いくら拗ねようが、嘆こうが
時は皆平等に過ぎ去ってしまうわけで。

あれから1ヶ月程過ぎ、12月半ば。
Xmasシーズンとなり、すみれは多忙を極めていた。


(舞踏会にお茶会に、Xmasパーティーに…)


それに加え叔父の事業の付き合いに、私まで呼ばれている。今もその付き合いとやらに参加している真っ最中だ。


(……帰りたい、なあ)


ワイングラスを片手に、注がれた赤い液体を揺らして持て余す。


最近、あまり勉強が出来ていない。
貴族令嬢の仕事が忙しい、本当に。


Xmasは家族で過ごすものだから、12月24日と25日は避けてパーティーが開催される。
そのため、この12月中旬はパーティーの開催ピーク時期であり、あちこちで催される。

既にいくつのお誘いを断ったか、もはやわからない。それでも連日の様に出席をしている。

出席をしているのは、もちろん自分の務めであると感じているから。あと、


(ディック、いないかな…)


そんな淡い期待を抱いている。
ディックが使用人に扮していたことがあったから。もしかしたら、また使用人としているんじゃないか。または、パーティーに呼はれているんじゃないか。

そんなことをずっと考え、






「…令嬢、すみれご令嬢?」

「あっ、ごめんなさい!お話の続きを…!」



パーティー中、上の空になってしまうのは日常茶飯になってしまった。
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