第4章 カラ松とおそ松たち
「はあ?!このクソ松と兄弟?!俺たちが?!」
「待て、一松。確かに俺たちには兄弟がもう一人いたんだ。俺たち、6つ子なんだよ。5才くらいの時に突然いなくなったって、母さんから聞いた。それからずっと探してたんだ。カラ松を見た時もしやって思ってた。名前聞いて確信はしたけど、海賊として生きてるカラ松に、兄弟だから帰ってこいって…言えなかったんだ」
怒鳴る一松を手で制しておそ松が少し遠い目で言う。するとカラ松は高笑いした。
「はっはっはっは!面白いじゃないか。何故俺だけが兄弟から外れてるのか、理由があるなら聞かせてもらおうか?」
おそ松は震える手を握りしめる。
「俺も覚えてないんだ。ただ母さんから聞いた話をするしかないけど、あの日トド松が貴族にぶつかったんだ。しかもそいつはハジメ国でも指折りの悪で、トド松を奴隷にしようとしたんだよ。そしたらカラ松。お前が身代わりになるって言って、貴族に連れていかれたって…。でもその後すぐにいなくなったって…。まさか海賊になってるとは思わなかったよ」
「……ああ、そうだったな。俺はずっと、先代シャーザーの子として育ったが、その前のことは忘れていた。だが今思い出したぞ、ブラザー」
「カラ松!」
「「カラ松兄さん!」」
おそ松たちとカラ松は抱き合って泣いた。
「おかしいわね。お父様がそんな貴族を放っておくわけはないはずだけど…」
「そいつがイヤミだ」
「あー…。うまく逃げていたわけね。あいつならできるわね」
すると十四松が両手を上げた。
「えーーーっ?!カラ松兄さんを連れていったのはイヤミだったの?!」
「へー。ならそのお礼もしに行かないとな」
おそ松がボキボキと間接を鳴らせば、チョロ松も立ち上がって腕を組む。
「ふっふーん。僕のライジングの力を披露する時が来たようだね」
「出た!ライジングシコースキー兄さん!」
「トド松!お前も動けよ?」
「分かってるよ、おそ松兄さん」
「でも…」
不意にうつむく○○の肩を抱くカラ松。
「どうしたんだい、リル○○」
「私が王権を取り戻したらその後は?カラ松は…カラ松は海に帰るの…?」
不安に満ちた声。その言葉は二人の別れを意味していた。王族に戻ってカラ松が海賊を続けるのなら、二人に接点はなくなる。そう思ったのだ。だがカラ松は笑う。