第10章 明日へと続く日々
雅龍がクレープを買って、夏海の所へ向かって来る
夏海は嬉しそうに雅龍を待った
雅龍は夏海にクレープを渡すと
「落とすでないぞ」と少しだけ世話を焼く
クレープを受け取り、口にすると甘酸っぱい味が口に広がった
「ねぇ雅龍、私は後悔なんてしてないから!」
「夏海…」
「私は悔いなんて遺さないから!」
「それでもだ!
お前の明日を…奪うかと想うと…」
夏海は雅龍と手を繋ぎ歩き出した
何処から見ても…カップルだった
仲の良い恋人同士
クレープを食べ終わると、雅龍が夏海の手の中のゴミも一緒に捨てに行った
ゴミを捨て戻って来ると、手を繋ぐ
歩いて帰る帰り道
「雅龍は…後悔してるの?」と問い掛けた
「後悔…してないと言えば…嘘になる」
「何故?」
「お前の明日を奪うから…」
「私は雅龍と共にいたいの」
「夏海…」
「貴方の子供を産みたいの」
「我と…共にいるのは…
夏海に多くのモノを捨てさせる事になる…」
「それでも!ね。
私は…決めたの」
夏海は、雅龍を見上げた
「雅龍と共に在りたい」
「夏海…!我も…夏海と共に在りたい!」
雅龍は…心より…そう思った
「ならね。後悔しないで欲しいのよ」
負い目や…
悔いなど…感じないで欲しい
夏海の思いだった
この先…共に生きるなら…
その思いが支障を来す時が来るかも知れない
「あぁ…悪かった…」
雅龍は繋いだ手を、ギュッと強く握った
夏海も雅龍の手を握り返した