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鏡の中から

第10章 明日へと続く日々





こんな当たり前の日々さえ…大切

夏海は…日々…幸せを噛み締めて

生きていた

精一杯…出来る限りの事を…

映画を見終わり、お茶をして帰る時に…

やはりこの日も…何処からとなく

雅龍が現れた

「夏海…」

留守番させられ…何処となく拗ねた顔で…

雅龍は夏海を呼んだ

「ほらほら、彼氏のお呼びだよ!」

美和が、夏海の背を押して

「この幸福者!」と揶揄した

「本当ね!熱いったらあらしないわ!」

理沙も、夏海を揶揄する

夏海と雅龍は、そんな二人に送られながら

帰路に着いた

「またね。また明日ね。」

夏海が手をふる

そんな当たり前の日々が…

夏海には…キラキラ輝く宝物の様に

大切だった


「迎えに来ては…いけなかったか?」

雅龍が、やはり拗ねて聞く

「雅龍、手を繋ご」

そっと手に触れると

雅龍の温もりが伝わる

「夏海…」

雅龍は苦しそうに…夏海の名を呼んだ

夏海の…日々を奪うのは…自分だから

雅龍は辛くて仕方がなかった

この人混みの中に紛れれば…

何処にでもいる女子高生だった

未来に溢れ、夢に向かう明日がある

だけど…夏海の明日は…未来へ続かない

「雅龍、クレープ買って帰ろうか♪」

夏海は楽しそうに雅龍に語りかける

「待っておるのだ…」

雅龍は、クレープを買いに行く

優しい

雅龍は…本当に優しい

こんな優しい男は…

もう二度と現れやしない

だから、悔いなんてない


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