第9章 始まり
夏海は兄の春海に
「兄さん、お願いがあります」
と頼み事をした
滅多と…頼み事をなんてしないのに…
春海は…夏海を見た
「何だ?出来る事なら聞いてやる」
それが家に縛られた…妹へしてやれる精一杯だった
「私は…子を産みます
雅龍との間に出来た子です」
夏海の…言葉に…
春海は唖然となり…夏海を見た
夫婦だと言うなら…
子供が出来て…
当たり前かも知れない
だけど…雅龍は戸籍を持たぬ…龍だった
「私は、子を産み…暫くしたら
雅龍と共に…黄泉に旅立ちます
兄さん…私の子を育ててくれませんか?」
春海は…何と答えて言いか…
返事に窮していた
「それは…既に…決まっているのか?」
「……そう。私の星は…」
夏海が言い掛けた時…
雅龍が封筒を持って戻って来た
雅龍は、その封筒を夏海に渡した
ついでに真贋の剣も…一緒に渡した
「ありがとう雅龍」
夏海がニコッと笑う
雅龍はそれだけで幸せになれた