第9章 始まり
「お婆様、松平 茜は本体を乗っ取った…
化け物だった…本来なら契約は不履行
だけど、弟が依頼料を払ってくれたので…
これね。依頼料だと言うから確かめて」
夏海から手渡された封筒の中には…
聖徳太子の一万円札が、100枚位束にして
入っていた
聖徳太子の札は…今は見掛けない
こんなに束であるとしたら…
それは…もう答えは見えていた
「母さん、真贋が剣を送って下さったので…
助かりました。
返しておいて戴けませんか?」
夏海が言うと、お婆様が剣を預かった
「返しておこうぞ!
後で返しに…行くとするかのぉ」
お婆様はほほほほ!と笑った
夏海は…清々しい笑みを浮かべ
家族を見ていた
雅龍は、そんな夏海を見ていた
夏海は立ち上がると
「今夜 家族に話があります
その前にね、雅龍にしないとね…」
夏海はニコッと笑い…深々と頭を下げた
「ご馳走さま」
食事を終えて…
キッチンを後にする
その後を追い、雅龍もキッチンを後にした
春海は…
お婆様に
「夏海は…何を言いたかったのですか?」
と尋ねた
「さてのぉ…」
ほほほほ!と笑い…
誤魔化した
今夜…
夏海が話をすると言うのなら
本人が言えば良い
お婆様は…
何も言わず…
夏海と雅龍が去った方を見ていた