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鏡の中から

第8章 熱




「雅龍…」

夏海は…雅龍の頬を伝う涙を

その指で拭った

「何故だ…夏海…
お前が嫌がれば…我は…」

我慢した

夏海に嫌われたくないから…

夏海に抱く性欲を押さえて

夏海に嫌われない様に

夏海に受け入れてもらえる様に、接してきたのに…

何がいけなかった?

何が夏海をそうさせた?

解らない

解らない…

夏海…

夏海…

お前を失って…

生きて行きたくはないのだ…


夏海の目の前の雅龍は

めそめそ泣いていた

涙を流し…

鼻水を啜る

格好良くないのに…

愛しさが込み上げて来る

雅龍を知れば

知る程に…

雅龍に想いが募る

雅龍は…

神楽 茜を…愛していた筈…

それじゃあ…

報われないじゃない

松平の家で…

雅龍は茜を見ていた訳じゃなかった

でも…雅龍の瞳が…

誰かを捉えるのは…

胸が苦しくて…辛かった

こんな苦しい想いをするなら…

雅龍を知る前の自分に戻りたかった

唯…それだけ


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