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鏡の中から

第7章 変化




ガチャっと応接室のドアが開けられ

依頼人がやって来た

「御待たせ致しました」

この家の主 松平 茜 が、丁寧に会釈をして夏海達の前に現れた

スラッと背が高く、髪は腰まで長く後ろで結わえていた

目鼻立ちが整っていて

かなり美人

優しげな面持ちで、夏海と雅龍に挨拶をした


「松平 茜に御座います
この家の当主をしております」

茜の挨拶を受け

夏海と雅龍は立ち上がった

「神楽夏海に御座います
此方は雅龍…」

ご挨拶して…

と、言う言葉が…

出なかった

雅龍は、松平 茜の姿を食い入る様に見ていたから…

「雅龍…?」

夏海は…

胸がチクチク痛かった

雅龍は…懐かしげに茜を見ていたから…

夏海は…無性に腹が立った


夏海は、お婆様の顔を潰す訳にはいかないし

瓦代を払う為に、自分を建て直した

「ご依頼内容は、離れに掬う魔物を退治して欲しい
と、祖母に聞いて参りましたが?」

茜は「そうなの。この家の離れは…誰も寄せ付けぬ部屋があるのです」と切り出した

「掃除にメイドが行くと…見る…と言うんですの
今では誰も離れには近寄れぬので…掃除も出来かねてますの…」

茜は、本当に困った顔でそう言った

「魔物、幽霊、そう言った類いであれば祓います
そうでないモノでしたら…我等には祓えません」

「そうでないモノ……とは?」

「使い魔…は無理です」

「使い魔…とは?」

「誰かが、この家に魔物を放った場合です

その魔物は…所有者がいる魔物となります

そう言う場合は祓えません」

夏海が丁寧に説明をする

「何故?祓えないの?」

「祓えなくはない
でもリスクが大きすぎるので、祖母が使い魔は祓うな…と申しております」

「……そうなの…」

茜は…

至極 残念そうに…言葉にした

それだけで…

離れにいる存在が…解る

誰かに

魔物を

放たれた

可能性は大きかった



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