第6章 伴侶の儀式
「帰るとしようぞ!」
お婆様が言うと、夏海は歩き出した
雅龍の腕が…夏海を抱く
離したくない…雅龍の想いが…
夏海に伸びて行く
「お婆様、疲れたわ!
しかも、お腹減った!」
お婆様は ほほほ!と笑って
「家に帰ろうぞ
帰ったら我慢した分、食べればよい」
夏海はスタスタ歩き出した
食べれるとなると夏海の動きは早かった
伴侶の儀式は…
終わった
二人は…
確実に違った感情を抱いていた
「お婆様、早くぅ~」
「暫し我慢するのじゃ!」
お婆様の一括する声が…
車内に響き渡る
香住は…相変わらずな娘の食い意地に…
苦笑して
娘の無事に胸を撫で下ろした
何時だって心配
祓い魔を生業とする神楽の家に嫁いで
その厳しさは誰よりも知っていた
だけど…無事に帰る娘に安堵して…
喜びを…奥へと秘め…噛み締めるのだ
車は神楽の家へ向かい走り出す
伴侶の儀式は…無事終わった