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鏡の中から

第6章 伴侶の儀式




夏海も…不意に暗闇に襲われ

判断が一瞬遅れた

自分を建て直し、雅龍を呼ぶが…

雅龍は返事をしなかった

それで、一人なのだと…推し測った

ジリッと足を踏み締め

臨戦態勢を取る

何が出て来ても

私は負けない!

夏海は自分に発破をかけた


無闇やたらに歩き回っても危険なだけだと

夏海は暗闇に目が慣れるのを待った

その時、辺りが明るくなっ

目が…光に眩む

目を顰め…光に慣れさせる

辺りが明るくなったら…

次は何か出て来る!

夏海は身構えた

何が出て来ても良いわよ!

負けない

絶対に負けないから!

自分を奮い立たせる

でないと…尻込みする自分が…

足を引っ張ってしまう…



「夏海、夏海」

春海が…夏海の方に歩み寄る

夏海は…

「そう出る訳ね…」と呟いた

夏海は…妖刀を握り締めた

「夏海おいで」

春海が…夏海に近寄る

直ぐ側まで行くと…



夏海を抱き締めた

「夏海…ぅ…」

晴美の背中には…刃先が突き出ていた

唇から…血を流し…

夏海を恨みがましい瞳で見る

「お兄ちゃんはね、人がいないとね
バカ夏って呼ぶのよ!」

夏海は叫んだ

春海の体は…さらさらと…

崩れて…消えて行った


「夏海」

「夏海」

父と母が…

夏海に近寄る

近寄る前に、夏海は袈裟斬りに切り裂いた

「父さんと母さんは…こんな場所には来ない!」

斬りつける夏海には躊躇がない

息を乱す事なく

私情は一切挟む事なく

夏海は舞い踊るかの様に、刃を向けて斬り裂いた


「夏海…怪我などしておらぬか?」

雅龍が夏海に駆け寄る

雅龍…

本物?

偽物?

判別が着かぬ…

夏海は…雅龍に刃を向けた

「夏海…」

雅龍の腕が…夏海を抱こうとする

あと少しで…

雅龍の腕が…

夏海に触れる

その瞬間…夏海は身を翻した

雅龍の指が…

夏海の頬を…掠って行く

頬を…抉り…

雅龍の指が…夏海を傷付ける

ニャッと、笑った雅龍は…

別人だった




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