第6章 伴侶の儀式
「怪我はないか?」
雅龍が、夏海の安堵を確かめる
「大丈夫よ!」
雅龍は、夏海を引き寄せて…
抱き締めた
「危ない事をするな!」
「雅龍がいてくれる…だから出来た」
雅龍は…何も言わず…夏海を抱き締めたままだった
ゾンビを倒した頃には…
辺りは真っ暗になっていた
今宵は…休もうと、この日も岩影に薪に火を着け、暖を取った
膝の上に夏海を乗せ
二人して暖を取る
「寒くはないか?」
「大丈夫よ!」
「何故…突っ走る?」
雅龍は…人を…初めて心配した
こんなに自分が心配性だなんて…知らなかった
「突っ走ってる訳じゃないわよ」
「無謀な…事は、止めて欲しい」
「無理よ。倒すまで私は止まらない!
そうして生きて来たんだもんね!」
「なら…もう少し、我の力を…信用して…」
「信用してるわよ」
夏海はそう言い笑った
「信用してなきゃ、私の後ろは頼まないわ!」
「そう言うものなのか?」
「そう言うものなのよ!」
夏海はケラケラ笑った
「雅龍は心配症?」
「………かな?」
「そう。心配症ね。」
「こんな無謀な奴は…
今まで…いなかったからな…」
「なら、慣れなさい。
私と共にいるなら慣れて」
「少しずつ…夏海を知る
夏海の事を知って行きたい」
夏海はその言葉に満足したのか
何も言わず…目を閉じた
雅龍の胸の中で…夏海は夢に落ちた