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鏡の中から

第6章 伴侶の儀式




「私はか弱い女子高生なのよぉ!」

夏海が槍を振り回し…叫ぶ

雅龍は…どこが…と思いつつ

腕力で獣を片付け、魔物を焼き払った

かなり、奥へと進む頃には…

辺りは日が暮れ…暗くなった

二人は…獣に気を付け、岩場の陰に隠れ

火を起こし、暖を取った

「寒くはないか?」

「寒いわよ」

夏海は震えながら答えた

雅龍は自分の膝の上に…夏海を抱き上げた

「ちょっ…重いって…」

軽々と持ち上げられ…膝の上に乗せられる

夏海は…

頬を真っ赤にして…

「ありがとう…」と呟いた

雅龍は、愛しさが込み上げ…

夏海の背中を撫でてやった


雅龍の腕の中で…

夏海が、すやすやと…寝息を立てる

安心しきって眠る…

そんな夏海を雅龍は、見ていた

今まで仕えた…誰とも違う

今までの主は…何処か諦め

運命を呪い…

雅龍の、モノになった

体躯だけ…与えて

心は誰かを想う

雅龍は…満たされない想いを…

抱えていた

幾ら抱いても満たされない

愛されない

愛される筈などない

俺は…魔物なんだから…

諦めて…

神楽に仕えた



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